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9.ひとり旅を終えて
私は78歳となった。大学の同級会が最後となるので東京に出たのだが、かねてから歴史の旅を考えていたので、この機会に思い切って一人旅に出ることにした。家内の理解もあって、費用と装備を用意して8日間の歴史観光に出た。旅程は東京・平泉・仙台・福島・二本松・会津若松・静岡・掛川・岐阜であった。次の行く先は旅宿、観光案内所、観光資料、知人の意見できめた。いわば出てからの成り行き次第という危なっかしいひとり旅であった。先々の人の助言が大いに役に立った。列車の乗り換えは綱渡り的であったし、食事は目についた食堂でとった。豪華な食事、名物の食事はできなかった。当日の泊り宿は現地で決めた。だから温泉宿など、著名なところは取れなかった。旅に便利なのはビジネスホテルでなく、中級のホテルであった。歩き回った疲れは静かなホテルでとれた。
出たとこ勝負の旅では、その時出会った人、目についた場所が強く印象に残る。一か所をじっくり見ることもなかったし、場当たり的に集めた資料でしか検討できなかったので、後で悔やむことがあった。歩き回るにはとにかく時間が足りなかったし、体力が足りなかった。でも、ハプニングが多い旅は楽しい。この度の一人旅はその点満足できた。デジタルカメラで写真を多く撮ることにしたので累計500枚を超えた。
旅から家に帰って後に訪問地の歴史勉強をしたので、旅日記を纏めるのに時間がかかった。文章を書くのは遅くて拙いので、「浅学菲才なので」と弁明させていただく。二本松城の歴史について、高橋氏のことにこだわりをみせて、私に偏するところがある。これは私の著書「立花宗茂の時代を寸描」で高橋鑑種(あきたね)と嫡男が宗茂預けになり、嫡男が丹羽藩に禄をはむことを書いていたからである。
旅をおえてから、ビデオ映像やテレビの中で、旅先で見た風景を見るたびに、懐かしく身近に感じるようになった。歴史の旅に松尾芭蕉の紀行が妙に重なっているのが脳裏に残る。俳句と先達と旅情を感じる体験を共有できた幸運があったといえるのではなかろうか。旅先でいただいた親切なもてなしと応援があって、一人旅を無事に終わることができた。中尊寺へ同伴くださった一関のご婦人、仙台市の歴史ボランティア鈴木典子さんと女子学生さん、旅行客をお世話様くださって有り難うございました。お礼を申し上げます。
平成24年12月 「歴史ひとり旅」から帰って

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