21. 音楽演奏療法を続けて五年近く
    音楽ボランティアの協力に感謝します

 当施設を視察、研修、見学に来園した人から感想をいただくときに、施設のお年寄りの明るさと、職員の折り目正しい応対ぶりを褒めていただくことがあります。こんな二つの言葉をいただくのが、園長はとても嬉しい。お年寄りへのいたわりと優しさがある職員の介護が入所老人の明るさを引き出しているのだ、と思っているから。
 入所してから、長い共同生活を続けた人が、いきいきと暮らしてくださるのが、職員の仕事取り組みの励みになります。この施設のお年寄りの暮らしざまを ”いきいきベターホームライフ” と名付けて、明るい雰囲気を感じる施設を演出したいと、考えてきました。病を養い、老いを生きる老人の住まいは、職員、家族、ボランティアが支えるところです。
 歌声が流れる、いかにも開放的な明るい特別養護老人ホームでありたい、との願いが、すこしは実現できていると自己採点しています。特に、音楽ボランティアの方たちによる慰問、レクリェーション、それに音楽演奏療法が、老人の生活を活気あるものにしていることは、間違いありません。地域の女子短期大学音楽科の学生さんは、バトンリレーのように訪問・慰問と老人個別の音楽演奏療法を続けています。
 一方、集団音楽療法を5年近く続けてくださるのがM先生。月2回の日程で、まもなく計120回の音楽演奏療法を実施することになります。先生の音楽療法は、老人を演奏活動に集団参加させて、個人の音楽領域の能力を引き出し、維持しようと工夫されます。お年寄りの個々人の可能性を見逃さずに、指導しながら、老人の生活での精神活動が活発に続くようにと、施設の担当職員に教授いただいています。
 「音楽の勉強会は明日じゃったかなー」と、園生活が長い男性老人が、待てないよー、という口ぶりで、園長に話しかけてくるようになった。はじめは、カラオケと間違えていたこの男性は、近頃は音楽演奏療法グループのリーダー的存在までに成長した。歌も格段にうまくなった。